私アラフォートモは父と母とねこの3人1匹暮らし。
父はアルコールによる記憶障害(物忘れ)、母は認知症のアルツハイマーで物忘れがあります。
診断名は違えど、同じくらいの物忘れがある2人。
そんな忘れる2人と独身アラフォートモと猫の日々をゆるーく綴ります。
この記事を書いている人|ミカトモのトモ
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父が行かなくなったデイサービスに、今も1人で通い続けている母。
「わたしはどこに行っても楽しめるの」と言って、
同じテーブルの人との会話や、以前やっていた習字を久しぶりに再開して楽しんでいる様子。
特に隣の人との相性が良かったみたいで、
「とっても賢い人で私の知らない俳句を、これは誰それの俳句と言ってすらすらーっと読んでくれるの!」
「本当に良い人で頭も良くて話していて退屈しないのよ」
「隣の人が良い人で本当に良かった、私は恵まれているわ」
と、その人の話をよくしていました。
私も、母が楽しそうに話してくれるので、そんな人がいてくれて良かったと思っていました。
ところが間もなく、その人が手術をするために翌月からお休みになるとの事。
母は相当ショックだったようで、それを聞いた日から数日間は何度もその話をしていました。
「何度目かの手術だって言うから、今度も絶対大丈夫!待ってるからね!
と言って励ましてきたけど、びっくりしたよ!」
子供はいない様で、旦那さんと2人でデイサービスを利用していた母の隣の人。
「旦那さんはいつ見てもぼーっとしてる人なのよ、大丈夫なのかしら。」
「奥さんがいなくてご飯とか家の事とかどうしてるのかしら。」
と隣の人の旦那の心配もする母。
「ケアマネージャーさんがうまく調整してくれてるんじゃないかな」
と、そういう状況になったら実際にどうなるんだろうと思いながら答える私。
翌月になり、本当に来なくなった母の隣の人。
数時間前にした事をまるっきり忘れてしまう母。
場面をつなぎ合わせて事実と異なる作り話をする作話が得意な母。
あの話も本当なのか半信半疑だったけど本当だったんだ…。
「新しい人も良い人だよ!ありがたいよ。」
隣の人が来なくなってからも、それなりに楽しくやっている様子。
だけどやっぱり寂しそうな母。
「隣の人が早く良くなって戻ってくるといいね、本当に。」
母の最初の隣の人が、良くなって戻ってくることを願う私。
「ところで、隣の人ってなんていう名前なの?」
「知らない。」
「!?。そうなんだ…。」
知らない訳はないと思うけど、忘れてしまうのだからしょうがない。隣の人は隣の人だ。
デイサービスで得意な人に教わろうと、母が買っていた折り紙。
買ったことを忘れて何度も買った大量の折り紙で、鶴を折り始めたのは少し経ったころ。
買った折り紙の裏表紙に鶴の折り方が書いてあり、
最初は1つ1つ気が向いた時にちらほらと折っていました。
1袋250枚入りの折り紙が5袋。
「これ全部折ったら1000羽鶴ができるね!」
何気なく言った言葉が母のスイッチを押したらしく、そのころから母の鶴の折り方に変化が。
1つずつ折っていた鶴は、一気に量産方式に変わり、時間があれば鶴を折る母。
話を聞くと、どうやら隣の人のために折っているような。
「とーっても賢くて、頭の回る人で本当に良い人。それなのに旦那さんはいつ見てもぼーっとして。
なんであんなに知的で素敵な人があんなぼーっとした人と一緒になったんだろうって不思議でしょうがないのよ。」
と人の旦那にめずらしく辛口の母。
家でぼーっとしている父の姿と重なり、それはあなたも同じだ。と母に対して思う私…。
「何度見てもぼーっとしているの!」
「でも2人で支えあって生きてきたのよね、きっと。」
笑いながら話す母。
旦那さんではなく本当は奥さんの事が心配で、母は何度も旦那さんの様子をチラ見しているらしい。
「奥さんの事よっぽど聞いてみようかと思うけど、悪い話だったらどうしようと思って怖くて聞けないよ。」
探し物をしていて、たまたま母の最近の備忘録のようなものを見てしまいました。
○月○日、3時に目が覚めてすることが無かったので、鶴を折った。
○月○日、今日も早く目が覚めた。鶴を25羽折った。
私が知らない間も鶴を折っていたようで、折り鶴漬けの日記に思わず笑っていると、
「よく分かんないけど、そんなに楽しいことがあって良かったね。」
と自分の事とは知らずに、いつも通りやさしい母。
母も私も隣の人が元気にまた戻ってきてくれることを願っています。
戻ってきたら今度こそ名前を聞いてきてもらおう。